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Songs 名曲紹介
スタンダードナンバーを独断で解説するページです
「豊口健 Great Standard Song」札幌の音楽情報誌SVVに連載中
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■番外編
雨の歌
年の瀬(クリスマス)songs
「Amazing Grace」
「Blue Christmas」
「The Christmas Song」
「Have Yourself A Merry Little Christmas」
「Here Comes Santa Claus」
「Last Christmas」
「Santa Claus Is Coming To Town」
「Silent Night」
「Silver Bells」
「You Are All I Want For Cristmas」
「White Christmas」
「Winter Wonderland」
2000年クリスマスソング人気投票結果
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「Spring Will Be a Little Late This Year(春遠し)」
1944年
(映画「クリスマス・ホリデイ」)
詞&曲:フランク・レッサー
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このたび、新型コロナウィルスの被害にあわれた方には、心よりお見舞い申し上げます。
世界はたいへんなとき、元気の出るスタンダード曲の紹介です
早く飛びはねたり、大声で歌ったりできますように!
「If I Were Bell」などを書いたフランク・レッサーの曲。「Heart And Soul」「Two Sleepy People(詞)」は、スターダストの作曲者ホーギー・カーマイケルとの共作。
恋人が去っていったので、今年の春はちょっと遅いのよ、という切ないラブソング。
『春がゆっくり始まるから、音楽がまた聴こえるのは、もうちょっと時間がかかる』
でもこの曲は、落ち込んでいるばかりでなく、後半は前向きになる。
『時間がすべてを癒してくれるから、いつまでも落ち込む必要はない。
春はちょっと足踏みしてるだけだよ。』
失恋ソングのはずなのに、元気のでる歌だ。
「a little late = "ちょっと"遅い」という感じ方が、人生のコツなのかな。
メロディも明るく、夏鳥のさえずりの予感がする。
エラ・フィッツジェラルドの'50年代のバラードが、ストリングスと相まって美しい。
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ピアノのレッド・ガーランドは、季節と天気のアルバム「All Kinds Of Weather」で、 この曲を明るくスウィングさせてます。
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ジュリー・ロンドンは、前向き部分から歌い出し、悲しみを飲み込むように歌っていて しみます。
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今年のノビタキ(Ken撮影)
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「When You Wish Upon A Star」
1940年
(ディズニー映画「ピノキオ」主題歌)
詞:ネッド・ワシントン
曲:リー・ハーライン
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世界中の子どもたちに夢を与えたウォルト・ディズニー。その映画や歌は、おとなにも大事なことを教えてくれる永遠不滅のものです。
ディズニーの映画作りは妥協を許さないものだったらしく、それは音楽にもあらわれていて、映画の中からとてもたくさんの世界的な名曲が生まれた。それらは暖かいものや楽しいものが多いが、単にそれだけではない曲の深みや独特の色彩感は、おとなが聴くだけでも一級のもの。
ディズニーのナンバーは、あらゆるジャンルに編曲されて演奏されている。ジャズで演奏するミュージシャンもとても多いが、ゴリゴリのジャズに料理しても何の違和感もないところが不思議だ。曲のふところ深さということなのでしょう。最近のディズニー映画はポップスのアーティストをよく起用したり、またクラシックを使ったディズニー映画もあったが昔のほうが名曲が多い気がする。
「ハイ・ホー(白雪姫)」「いつか王子様が(白雪姫)」「チム・チム・チェリー(メリーポピンズ)」「ベラノッテ(わんわん物語)」「美女と野獣」などなど、有名ですね。でも、とりわけ有名なのは「星に願いを」でしょう。
映画「ピノキオ」の中で歌われる、星に願いをかけていれば必ずかなうよ、という歌。ピノキオは木の人形だったんだけど、人間になりたかった。よい子になることが条件だよ!!
「ほんとに思ってることは願い続けよう、思い続けよう」ってこの歌は、おとなも「はい、、」とうなずいてしまう。それはひとへの最高のアドヴァイスのひとつかな?
そして最後には「願いは大きすぎることはない」っていう歌詞がくる、ここが好きだ。
有名なのはルイ・アームストロング(サッチモ)のとびきり暖かいヴォーカル。女性なら古いローズマリー・クルーニーの名唱がある。
ジャズピアノの名演は数多く、ビル・エバンスを筆頭に、ケニー・ドリュー、ジーン・ハリス、イリアーヌなど枚挙にいとまがない。不思議とこの曲は、アレンジ好きなジャズマンの手にかかってもしんみり系が多いが、最近は、ジャズワルツなんかでも演奏される。
僕のとてもお気に入りのディズニーのナンバーに「ピーターパン」の中で歌われる「右から二番目の星」っていう曲がある。これが何と出だしの4つの音がこの「星に願いを」と同じなのだ。
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「Fly Me To The Moon」
1954年
詞・曲:バート・ハワード
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僕が小学校何年生の時だろう、新聞にはこんなに大きな活字があったのかというくらいの大きさで「人類月に立つ」という一面の見出し、そう、アポロ11号が月面着陸に成功したのだ。
世界中おおさわぎだったろう。子どもの世界にも、お菓子屋にはアポロチョコレート(今でもある名作)やアポロガムなんてのも並び、アポロブームになったっけ。
さて 「私を月へ飛ばせて」 と歌われるスタンダードソングの超有名曲「Fly Me To The Moon」。科学がいくら進歩しようが、人の心の中の夢は真実で生き続ける。うさぎは毎晩もちつきをしてるし、恋するものは星の間で遊んでる(
"Let me play among the stars" )んだろう。
この曲は宇宙開発の'60年代、時代に乗ってヒットしていったらしいが、ボサノバのアレンジでそのブームにも乗ったのかもしれない。しかし原曲は美しいワルツ、また曲の題名も元は『In Other Words(他のことばで言えば〜言い換えると)』だった。歌詞の落ちはここにくる、こっちの原題のほうが僕はずっと好きだ。
「私を月へ飛ばせて。でもそれはつまり(〜他のことばで言うと)抱きしめてってこと」「私の心を歌で満たして歌わせて。でもそれは(〜他のことばで言うと)“I
Love You”ってことなのよ」 とくる。
メロディはいきなり力強く高いところから下りてくる、それが 「私を月へ飛ばせて」 だからインパクトあるな。ジャズヴォーカルをはじめた人もよく取り上げるし、ちょっとしたジャズファンでも口ずさんだりしてる、覚えやすく美しいメロディだ。
ボサノバアレンジのヴォーカルでの草分けはジュリー・ロンドンか。ご本家アストラッド・ジルベルトよりなつかしい感じだ。
しかしこの曲は元のワルツ以外でも、スウィング、バラードでもいろんなリズムで演奏される。フランク・シナトラがカウント・ベイシーのリズムをバックに大きくスウィングする歌は圧巻。
インストルメンタルでは、ウェス・モンゴメリー(ギター)の速いボサノバが印象に残る。
僕が忘れられないのは、この曲がヒットする前の'50年代にスロー・バラードでフランシス・ウェインという白人女性ヴォーカリストが歌ったもの。冷たく暖かくまじめで深かった。今はない「Storyville」というジャズ喫茶で20年以上前に秋によく聴いた。
そうそう、最近「宇多田ヒカルが歌っているんだよ」といって若者からこの曲のリクエストが来た。聴いてみなくっちゃ。
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「My Foolish Heart」
(愚かなりし我が心)
1949年
詞:ネッド・ワシントン
曲:ビクター・ヤング
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北海道は雪に閉じ込められた中、バレンタインデー、ひなまつり、ホワイトデーとイベント目白押しですが、いかがででしょうか(何が?成果は?バキ)。
恋の数の多い少ないにかかわらず、成功や失恋にかかわらず、いらいらシクシク人間のことやつながりのことをいろいろ学んだり、また自分自身を再発見したりするひともあるでしょう。
失敗を重ねると慎重になる人もいるようだ。「今度の恋はほんものかしら」ほんものだよ!
さて今月の曲「My Foolish Heart」は自分のおろかな心に向かって自分が歌いかける、というちょっと面白い歌だ。
「Beware , My Foolish Heart」「Take Care
, My Foolish Heart」 とさかんに自分の心に向かって「気をつけて」と注意をうながしてる。むかしだまされたからな、という思いが出てる?でも、クラクラきてるだけ( Fascination )なのかホンモノ( Love )なのかを自分で見極めようっていう前向きな歌で、暗くはない。最後は自分で 「今度の恋は本当の恋だから」 と決意のように"自分のおろかな心ちゃん"に向かって言い切って終わる。いいね!
メロディはヴィクター・ヤングの作で、とても美しい。作詞のネッド・ワシントンとのコンビでは「星影のステラ」や「マイ・ロマンス」などがある。
ジャズファンなら、この曲名を聞いたらピアノのビル・エヴァンスを思い出すひとも多いでしょう。有名なビレッジ・バンガードでのライブ盤(「ワルツ・フォー・デビー」)、そうあのおばちゃんの笑い声が入ってるやつですが、後年エヴァンスはインタビューで「あの晩はお客さんがうるさくて最悪だった」と語っていたとか…、それにしてはすごい名演。
サックスプレイヤーもよく取り上げる曲で、ジーン・アモンズやスコット・ハミルトンなどのじっとり歌い上げる系が泣ける。
ヴォーカルではカーメン・マクレーが何度も録音しているが、かみしめるようですばらしいとくに若い頃のは可愛らしくホロッとくるよ。ちょっとコワモテに見える女性シンガーも、やっぱりラブソングを歌うとカワイイ恋心が出てしまうってのがいい。
もともと映画の主題歌だったこともあり、アメリカではジャズ曲というわけでもないようだ、ポピュラー畑のシンガーもよく取り上げる。日本人の歌手にも好まれる歌のようだ。
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「Love Letters」
(ラブレター)
1945年
詞:エドワード・ヘイマン
曲:ビクター・ヤング
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スタンダードソングにハマって歌詞など詳しく調べているリスナーの方もけっこういるもので、新しいことを教えてもらうこともある。歌詞は詩なのでいろんな解釈ができて、おもしろいよ。
さて、いろんな解釈で誤解も楽しいのがラブレター!?必死で行間を読む、彼女の息づかいを読む、何度も暗記するくらい読む、何だかいい匂いがする、なんてときめいたラブレターの時代を思い出すひとも多いでしょう。最近は手書きの手紙をやりとりする機会がほんとうに少なくなった、それでも手紙ファンのひとは多いのだと思う。もらうととても嬉しいものだ。ワープロ、パソコンまかせでもう漢字も書けなくなったーとお嘆きの方、嘆くこたあない、反省して書いてみればいいのだ。Eメールも速くていいけど、じっくり書いていると自分が見えるよ。
ヴォーカリストのレパートリーに多いビクター・ヤングの甘い名曲「ラブ・レター」は、もとは戦争がらみの映画の主題歌。戦地の恋人の手紙を代筆しているうちに、自分が本気で恋してしまうというお話らしい。代筆はよくない!それから渡すのも自分でやらなきゃだめだ!半分は失敗するぞ。
歌詞はストレートでわかりやすい、 「離れていても手紙があるからひとりぼっちじゃない、どの行も暗記してしまい、何度も読み直すよ」
と歌う。「Love Letters straight from your heart」 と相手を信じているあたり、なかなかいい性格だ。こういうひとはいい、歌うときもこの純真さが必要だ。
曲は'40年代にできたが、ポピュラーになったのはもっとあとのようだ。ナット・キング・コールのヴォーカルが定番だが、のちにエルビス・プレスリーもヒットさせた。最近ではジュリー・ロンドンの流れの料理でパティ・オースティンなんかよかった。
バラード以外で演奏されることも多くなった、ボサノバのリズムにもよくのるし4ビートでも。インストルメンタルではあまり演奏されなかったが、キース・ジャレットやジェイムス・ウィリアムスなどのピアニストは辛口のラブレターを送ってくる。
この曲には短いけど美しいヴァース(曲の本編前の前口上部分)がついていて、キング・コールが歌っているがほとんど歌われないしやったことがない。とても若い頃、この曲のヴァース部分だけの楽譜を書いたカードをバンド仲間の女の子からもらったことがあった、うーん、調べてみたが若輩者の自分にはわからない、「何の曲これ?」うーんうーん。。続きをききたい方はライブに来てください〜何―!?
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「Moonlight InVermont」
(バーモントの月)
1944年
詞:ジョン・ブラックバーン
曲:カーク・スースドーフ
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いよいよ冬になり今年ももうひとふんばりですね、12月。楽しいスキーシーズンも再開だ。どこのスキー場もまたリゾートもなかなかたいへんらしい。
さて今月とりあげる「バーモントの月」という実に美しいスタンダードソング、「バーモント」とはアメリカの北のほうにある(カナダに近い)地名だ。バーモントカレーというのが有名だが、バーモントの人たちの健康法は「リンゴとハチミツ」なんだとか…。まあそれはいいとしまして、このバーモントというところは風光明媚で、そしてスキーリゾートとしても有名なのだ。歌詞にもスキーのシュプールが出てくる。
絵のような歌だ。感情を表すような歌詞はなく、バーモントの美しい情景を歌った歌。2番の最後は Snowlight In Vermont だ、雪明りだね。スキー場で恋したことはないが、歌われる風景にロマンチックな想像を勝手にあれこれ足しながら聴くと、夢の気分になる。最後にたった一言 「You and I and Moonlight In Vermont」 の歌詞があるからここを目ざして聴く(歌う)。
メロディは、シンプルすぎるのに限りなくきれいだ。何だか静かにする力のあるメロディだ。スローバラードが定番だが、ボサノバやボレロのリズムもよくマッチする。
ヴォーカルではエラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングのデュエットがきわめつけに暖かくて冬にぴったり。若きサラ・ヴォーンやカーメン・マクレエは素直で可愛い。
インストではジョニー・スミスのギターがいとおしむようにコードで弾いていて泣ける。スタン・ゲッツ(テナーサックス)もいい。晩年のソニー・スティット(アルトサックス)が愛想曲にしていたのが印象に残る。ピアノもナット・キング・コールやアーマッド・ジャマルの大御所の名演がある。僕のお気に入りは、ウィントン・ケリー20歳の時の演奏で、イントロでチェレスタを弾いている。信じられぬほどロマンティックで、山並に月がうかぶようで夢見心地になる。
ベートーベンの「月光」ドビュッシーの「月の光」、Moonlightは歌になりやすいようだ。スタンダードソングの有名なものにはグレン・ミラーの「ムーンライトセレナーデ」をはじめ、「Moonlight Becomes You」「What A Little
Moonlight Can Do」なんてのがあるね。
おれも1曲つくってみっか、その前にスキーに行きたい!
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バーモントのリゾート
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「Smile」
(スマイル)
1936(詞1954)年
詞:ジョン・ターナー&ジョフレ・パーソンズ
曲:チャールズ・チャップリン
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チャップリンが、映画「モダンタイムス」のために自分で書いたといわれる。
チャップリンは音楽の専門家ではないが、自分がヴァイオリンを弾いて誰かが譜面にするという作曲法であったらしく、他にも「Eternally」などの名曲がある。どれも夢見るような甘いメロディだ。
この曲の歌詞は実にストレートで、内容は 「苦しいときは笑ってみて」 というだけといえる歌なのだが、なぜかぐっとくる。ひねりなくあくまでやさしく真摯に語りかけることに徹したパワーがある。
「泣いたって何のトクもしない、自分ががんばって笑いさえすれば、まだ生きるって捨てたもんじゃないってわかるさ」 と心が痛いひとに語りかけるのだ。
ヴォーカルは数多いが、ひとを包み込む説得力をつけるには人間的な実力がいりそうな曲だな(笑)。ナット・キング・コールと娘のナタリー・コールを比べるとわかる。でも、自分の人生に向かって励ますように歌うスタイルも多く、これも悪くない。
僕がピアノ弾いてストリングス編曲した宮田あやこさんの「スマイル」も聴いてね(^^ゞ
インストでは、40年もの昔にケニー・ドーハム(トランペット)がミディアム4ビートでやったのが、すごい画期的。この曲をスロー以外でやるなんて誰も思いつかない、そんな曲だから初めてやったひとは尊敬してしまう。
最近ではマッコイ・タイナー(ピアノ)も強力にスウィングしている。
デクスター・ゴードン(テナーサックス)の”スマイル”は、トツトツと歌い続けていて泣ける。
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「ロッカバイ」宮田あやこ
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「The Days Of Wine And Roses」
(酒とバラの日々)
1962年
詞:ジョニー・マーサー
曲:ヘンリー・マンシーニ
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"ジャズファンはみんな呑み助ばかりだ"とか"ジャズミュージシャンはみんないつも飲みながら演奏してる"とかまちがった解釈もあるようだが、、、「ジャズと酒は手を結ぶ」というふうなイメージは巷ではとても大きいようだ。酒場でドラマや名演が生まれることはあるし、たくさんの飲み屋さんやライブハウスがなかったら今の自分はなかっただろう、いえぬほど感謝してる!
しかし、こわいのはアルコール中毒、「自分は一歩手前かもしれない」と思っているひと、もうあぶないですから「酒とバラの日々」を聴いてみてください。
タイトルを見て、"あこがれの生活"なんて思っちゃ大まちがい。
この曲は'60年代映画音楽の雄ヘンリー・マンシーニ(「ムーンリバー(映画"ティファニーで朝食を")」などを作曲)が同名の映画「酒とバラの日々」のために書いた主題歌。1962年アカデミー映画主題歌賞を獲得した。アンディ・ウィリアムスの歌が大ヒットし、スタンダードソングになった。
この映画を見たことがある友人がいたので教えてもらった。とても愛し合ってバラ色の日々を送っていた夫婦のストーリーで、酒好きの夫(ジャック・レモン)の気持ちをわかろうとして飲み始めた奥さんのほうもアルコール中毒患者になってしまい灰色の日々が始まってしまうという恐ろしい映画なのだそうだ(ひとごとではない、と言っていた)。中毒とのたたかいは、夫は更生するが妻は敗れ、夫婦は破滅するようだ。
「酒とバラの日々は、子供の遊びのようにかんたんに閉じようとしているドアに向かって走っていく。"Nevermore"と書かれたドアに」
アンディ・ウィリアムスをはじめとするポピュラーシンガーは、甘いメロディをきわだたせた歌が多くそれはすばらしいが、ジャズシンガーのほうは陰影に富んだものが多く、先の映画のストーリーを聞いてしまったら、この曲はジャズが面白く感じる。
カーメン・マクレーとトニー・ベネットはどちらもジャズの匂いプンプンのとても奥深い歌をきかせている。
ピアノの名演が多く、いろいろなテンポで演奏される。オスカー・ピーターソンははつらつとスウィング、ミッシェル・ペトルチアーニの入魂のスローバラード、またボサノバのリズムでもよく演奏される。愛奏曲としていたビル・エヴァンスの死の直前の演奏は聴いていてつらくなるほど迫真の名演だった、天国へ向かって自分の力をふりしぼって駆け上がっていくようにみえる。
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「The Shadow Of Your Smile」
(いそしぎ)
1965年
詞:ポール・フランシス・ウエブスター
曲:ジョニー・マンデル
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「いそしぎ」というタイトルが日本ではあまりにも有名だが、昔「いそしぎ」って何だ?と辞書で調べたことがある。「いそしぐ」の名詞形ではなかった(^^ゞ!辞書には載っていない。
「あなたの微笑みの影」がなぜ「いそしぎ」なのか。。それは映画のタイトルであった。英語で「The Sandpiper」という映画(3流映画の誉れ?高い)の主題歌。それは、海辺にいる鳥(鴫=シギ)のこと。
恋したひとへの慕情をうたった歌だが、ヴァースの部分で 「傷ついた"いそしぎ"を抱いたあなたのやさしさを忘れない」
とだけ出てくる。コーラス本編では 「"あなたの微笑みの影"がこれからの私の夜明けを照らしてくれる。春や恋の喜びを、思い出すとき、いつもあなたの微笑みの影=おもかげも思い出す」 と歌ってる。なぜだかこの曲は現在の恋人に対して歌ってるように聞こえるのは自分だけだろうか(少なくともまだ好き、ずーっと好きなのだ)。だとしたら、おもかげを歌うところが、ちょっとさびしい。
メロディが抜群だ(ジョニー・マンデル)。最初はトニー・ベネットの歌うみたいに大きなバラード曲だったようだが、アストラッド・ジルベルトがボサノヴァのリズムで歌ったのがすばらしく、ボサノヴァで演奏されることが多くなった。
アン・バートンの歌うスローバラードは独自の世界ですばらしい。異色では4ビートで果敢に歌うルー・ロウルズが印象的。
インストルメンタルでは、ソニー・スティット(アルトサックス)のお気に入りで大きくスウィングしてるのがいい。
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「The Girl From Ipanema」
(イパネマの娘)
1963年
詞:ビニシウス・ジ・モライス・
曲:アントニオ・カルロス・ジョビン
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ボサノヴァの代表的な名曲。
”イパネマ”は、ブラジルのリゾート地らしい。そこの海辺からやってきたサンバを踊るように歩く娘に、惚れちゃったうた。ボサノヴァの曲には地名が出てくる題名が多い気がする。
スタン・ゲッツ(テナーサックス)と一緒に組んだジョアン・ジルベルトのアルバムが大ヒットした。作曲はアントニオ・カルロス・ジョビン(ピアノ)。
'60年代、ブラジルの新しい歌ボサノヴァがいかに世界に旋風を巻き起こしたかは、「ジャズピアノの父」と呼ばれるアール・ハインズが、ほぼリアルタイムでこの曲を吹き込んでいることでもわかる。頭で考えると全然イメージじゃない。でも立派なジャズになっていて大らかで楽しい。アメリカのジャズマンはいい曲なら何でも演奏する。素晴らしいブラジルの曲をとても気に入って、それをたくさんの人が自分流に演奏したのだ(そういうことを嫌った人もいただろうし、そういうジャズ批評もあった)。メロディやリズムが新鮮でもあったのだろう。
この曲のサビは、どんどん転調してとてもむずかしいよ。サビ以外はとてもシンプル、でもメロディ(歌詞)をリズムにのせるのは、なかなかレベル高いかも。
ピアノのオスカー・ピーターソンもボサノヴァを気に入っていた人だが、静寂の中の爆発という感じですばらしい。
ジャズ・ヴォーカルでは、エラ・フィッツジェラルドがジャズのアドリブをジャズマンの奏するボサノヴァのリズムにのって乗りまくっている(歌詞はイパネマから来た”少年”となっている)。ジョビンに捧げたアルバムも残している。
逆に現地ではジャズに影響を受けてサンバやボサノヴァをピアノトリオなどで演奏したグループもたくさんあるらしい。ブラジルのThe Zimbo Trioの「イパネマの娘」などは、ジャズへの敬意に満ちている気がする。アメリカジャズマンより激しく演奏している(国際交流の姿かくあるべきみたいなやさしさや異国へのあこがれ)。
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「All Of Me」
1931年
詞:シーモア・シモンズ
曲:ジェラルド・マークス
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ジャズヴォーカリストに「ジャズではじめに覚えた曲は?」と訊くと、この曲名が帰ってくることが多い「All Of Me」。スタンダードソングの超有名曲、リクエストも多い。
この曲がレパートリーにない歌手は少ないし、最初でなくても何番目かに覚える曲のようだ。でも、2拍3連符などがでてきて歌詞をリズムにのせるのは案外むずかしいところがあるし、それほど簡単な曲ではないと思う。また逆に、色んな歌い方をトライして発展させることができて一生歌い続けたい歌かもしれない。
たくさんの演奏があるが、スウィングするリズムで明るく演奏されることが多い。出だしのメロディがとても力強く、ジャズらしさがあらわれているのかな。
歌詞は切々たる女性の片思いの歌だ。日本の演歌のように(?)なかなか力強い。
「私の唇を奪って、私、もういらないのよ。」 と捨て身でくる
(うーむ、あまり思われていない男に自分が落ちてしまったか…、もしくは、ほんとに惚れた女には簡単には手は出せないとか言ってたヤツがいたが…、どちらかだな)。
最後は 「私の心(一部)を奪ったあなた。どうして私のすべてを奪ってくれないの?!」 と片思いを強烈にぶちまける。
ダイナ・ワシントンとかチャカ・カーンのように、はっきりと物言うパワフルな女性が歌うとぴったりの歌詞だが、ビリー・ホリデイのように、気持ちの出し方を控えめに歌うとまた深みが出ていい。実際に口に出していうってことじゃなく、歌だから本当の心を表せる、そんな歌や表現がよくある、そういうのは音楽のすばらしさを感じてたまらんなー。男性ヴォーカルでは何といってもフランク・シナトラが一番人気。
楽器の演奏では最近はあまりたくさんやらない。むずかしい曲だと思うし「この曲はヴォーカリストにおまかせしよう」と思われがちな曲の一つだ。
定番のレスター・ヤング(テナーサックス)の演奏は、控えめ系でほんとに悲しそう。ビリー・ホリデイとの共演のものもあり、ふたりは同じ解釈っぽい(デキていたとのうわさもあるが)。
またクール派といわれるリー・コニッツ(アルトサックス)のお気に入り曲だったみたいだ、さりげなくてとてもいい。古いところでは、ジャンゴ・ラインハルト(ギター)のメロディがなつかしい時代の雰囲気にはまっていて僕のお気に入り。
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「As Time Goes By」
(時がすぎても)
1931年
詞・曲:ハーマン・ハプフェルド
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争い止まぬ世界や、つらいこと悲しいことの中にあっても、がんばるひとや恋するひとはつつましく、でも強く、自分の好きな気持ちをつらぬいているな。
さて「時代がすぎていっても、人間の恋心は不変だ」という曲、「As Time Goes By」。
この題名の邦訳で一番多いのが 「時のすぎゆくままに」 というものだが、日本人の誤訳の代表選手として話題にのぼる。「時がすぎても」 というのが正確なんだそうだ。
曲は、第二次世界大戦中に封切られた映画「カサブランカ」で一躍有名になった。イングリッド・バーグマンがピアニストに向かって「Play it again , Sam.(もう一度弾いて)」というシーンはあまりにも有名ですね。時がすぎても愛は変わらないと歌うこの曲は、かつての熱い愛を呼び起こす重要な役割を果たした。むかし恋人と聴いたこの曲を、異国で再会した彼のバーでリクエストしたのです。
これをやりたいのか(笑、「Play it ,
Ken」と言われたこともある)とてもリクエストの多い曲です。本場アメリカのクラブ、バーでもダントツの人気曲らしい。
ヴァース(曲の導入部)の歌詞にアインシュタインが出てくるが、この時代1930〜1940年代は、めざましい科学の進歩やめまぐるしい世界情勢に、人々の心が疲れやすくなりはじめて、そんな急ぎゆく時代への皮肉とも感じられる歌だ。なんとなく今と似ているような気もするな。相対性理論や戦争の行方はどうなるのかわからない心配の種だけれど、 「男には女が、女には男が必要なのはむかしからこれからも変わらずわかりきったこと。時が流れてどんな時代になっても世界はいつも恋人達を歓迎してるから」
と歌う。
歌では、ビリー・ホリデイの'40年代の録音がリアルタイムな時代の雰囲気がばっちり感じ取れる。カーメン・マクレーの弾き語りが説得力たっぷりですばらしい。
歌詞が強力なせいか、インストルメンタルは意外に少ないが、スウィングジャズピアニストの神様
テディ・ウィルソンの十八番だった。
近年では、映画「ラウンド・ミッドナイト」で、デクスター・ゴードン(テナー・サックス)が演奏しているのがすばらしかった。ピアノではマル・ウォルドロンが、息をさせないようなスローテンポで演っているのが迫真。異色では、今は亡きリッチー・コール(アルトサックス)が、このバラードを意表をつく急速調で演奏し驚かせました。
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「April In Paris」
(パリの4月)
1932年
詞:エドガー・イップ・ハーバーグ
曲:バーノン・デューク
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フランスのシャンソンでアメリカを歌ったものはほとんどないのに、アメリカのスタンダードソングにはヨーロッパがよくでてくる。ふしぎだ。その中でもパリは、いちばんよく出てくる街じゃなうだろうか。そしてたいてい素敵なもの、ワクワクするものの象徴として扱われている。「あなたが私を愛していたときは、街はいつもどこでもパリだった」 ってなもん(「When Joannna Loved Me」より)。
映画「ある愛の詩」でも病気になってしまった妻にプレゼントするのはパリ行きのチケットだったな。ロマンチックなデートをするならパリ、なのかな?!
さて「パリの四月」はいったいどんな風だろう。作曲のヴァ−ノン・デュークは、この春の風景を書いたあとに、地球の裏側の「ニューヨークの秋」という名曲も書いた。どちらもくりかえし(リフレイン)がなくどんどん展開する、すばらしいメロディだ!でも難曲だ。
「ほんとの春を知らなかった自分が4月のパリを見て、それを知った。生きることがこんなにすばらしかったなんて」 という春の賛歌だ。具体的には出てこないが、恋人とデートした思い出の街という設定で歌うひとは多いんじゃないだろうか。
最後は少し心が乱れたみたいで、パリの街にむかって 「どうしてくれるの、私のこの(恋)心」 という少しミステリアスな問いかけで終わる。
カウント・ベイシー楽団の十八番としてあまりにも有名。ベイシーファンは、コンサートでこの曲が聴けないと怒ってしまったそうだ。「One
more time!」と叫んで、最後の部分を何度も繰り返して、コンサートがもりあがる趣向になっていて、水戸黄門の印籠みたいなものだった。
ピアノなら、バド・パウエルとセロニアス・モンクの名演がある、そして圧倒的なエロール・ガーナーの愛奏曲で、オーケストラのように雄大に弾いている。
他楽器では、チャーリー・パーカー(アルト・サックス)のwithストリングスが一押し。
音域も広く難しいからか、ヴォーカルはそう多くない。エラ・フィッツジェラルドと神様ルイ・アームストロングのデュエットがとびきり暖かい。若きサラ・ヴォーンとクリフォード・ブラウン(トランペット)の共演もすばらしい。
僕のお気に入りは、ダイナ・ショアがアンドレ・プレビン(ピアノ)をバックに歌ったもので「春がワルツを踊ってるよ」という珍しいヴァースが聴けるよ。
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「You Must Believe In Spring」
1960年代
曲:ミッシェル・ルグラン
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映画音楽などで活躍している香気あふれる作曲家、はじけるジャズピアニスト、ミッシェル・ルグラン作。
切なくすばらしい曲だが、ふと気づくとメロディはたった8小節のモチーフしかない。それを4回くりかえすだけなのだが、聴いていると魔術にかかったようにもりあがっていく。後半とちゅうからいきなり半音の転調をする。
「今は(あなたの心が)雪の下深く眠っていても、冬の後には必ず春が来る。
3、4、5月と雪が解けて小川が流れ出す春と、愛は絶対に信じること。」
ミッシェル・ルグランのコンサートを見たとき、メロディをベースで演奏していた。なかなか合う。歌い上げても、じっくり抑えて演奏しても合う。
ピアノのビル・エヴァンスの晩年の演奏が一押し。人気の高い同名アルバムがある。これはトリオ演奏だが、トニー・ベネット(ヴォーカル)とデュオで吹き込んだものも、泣ける。
ジョニー・グリフィン(テナー・サックス)がじわっと歌い上げている。
ヴォーカルは音程の飛び方が楽器的でむずかしそうだが、テクニシャンが取り上げるようになった。シーラ・ジョーダンはハービー・シュワルツのベース1本で歌い、クラシックのジェシー・ノーマンは御大ミッシェル・ルグランと最近吹き込み、僕はチャリートと一緒に演奏したのが忘れられません。
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「Take The "A" Train」
(A列車で行こう)
1941年
詞・曲:ビリー・ストレイホーン
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僕が高校のとき、音楽の教科書に唯一載ってたジャズマンはデューク・エリントンだった。そして鑑賞曲として取り上げられていたのが、この「A列車で行こう」だ。
ジャズをアメリカの1つの芸術として押し上げる大きな原動力のひとりだった、ピアニスト「Duke=公爵」エリントンは1920年代から自己のビッグバンドを持ち、その偉大なバンドのテーマ曲だったのがこの曲だ。作曲は、デューク・エリントンの片腕として楽団の作曲・編曲を担当していたピアニスト、ビリー・ストレイホン。
街行く人への「JAZZといえば思い浮かぶ曲は?」アンケートに、いつも必ず3位以内をキープしているほど、ポピュラーでかつ「ジャズらしい」と感じさせる曲のようだ。
「A列車」とは、ハーレム行きのニューヨークの地下鉄8番線のことをこう呼ぶらしいのだが、日本人観光客は1人で乗らない方がいいらしいよ。ハーレムというところはご存知スラム街なんだが、 「ハーレムのシュガーヒルにいくなら、Aトレインで行かなきゃだめよ。来た来た、さあ乗るぞ!」
って詞がついてる。ここから文化が生れたんだという誇りのようなものも感じさせる。
もともと楽団の演奏用の曲のせいか、インストルメンタルが多い。エリントン楽団は何度も何度も録音しているが、僕のお気に入りは、ドラムのルイ・ベルソンが楽団と共演したもの。途中テンポも変わって、最後までわくわくしてハーレムに到着する。
どの演奏もデュークの硬派なすばらしいピアノを聴くことができる。あのセロニアス・モンクにも強い影響を与えた打楽器的な弾き方は、ラグタイムやブキヴギ、ハーレムのピアノ奏法の流れにのり、これがジャズだって感じでジンとくる。この曲をソロで演奏するのはむずかしいと思うが、レイ・ブライアント、リチャード・ティーなどのピアニストが果敢に挑戦していてすばらしい。また、ジャズピアノの父と呼ばれるアール・ハインズがデュークと2台のピアノで演奏しているテープを持っているが、これはすごいよ。
コンボ演奏なら、クリフォード・ブラウン&マックス・ローチが一押し。列車が走っていくようなアレンジも面白い。ヴォーカルものでは、エリントン楽団の専属シンガーだったベティ・ローシェのスキャットスウィングがやはり一番印象深い。 |
デューク・エリントン楽団
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Pub FANTASISTA
2000年クリスマスソング人気投票結果
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第1位がジョン・レノン(&ヨーコ)とは「ファンタジスタ」らしさが出ているかもしれません。クリスマスソングのCDは売れるのか(笑)、最近どんどん新しい曲が生まれているようだ。アーティストも作りたがるジャンルだ。今年、ドリカムの「Winter
Song」が1位になってるラジオ番組を2つ聴いた(ここにはない(^^ゞ)。日本生まれのクリスマスソングを聴いているんだな。洋楽を聴いたことがない日本のロックミュージシャンも出てきている時代なのだ。
第1位
Happy Christmas(War is over)
第2位
Have Yourself A Merry Little Christmas
第3位
The Christmas Song White Christmas
第4位
Silver Bells
第5位
サンタが街にやってくる
第6位
Blue ChristmasChristmas time forever(S.A.S)
I'll Be Home For Christmas
Let It SnowLet IT Snow Let It Snow
アベ・マリア
ママがサンタにキッスした
第7位
Chrismas Time In Blue(佐野元春)
Last Christmas(WHAM)
No More Blue Christmas
'O Holly NIGHT
Silent Night
The First Noel
クリスマス・イブ(山下達郎)
赤鼻のトナカイ
第8位
Hey!Santa (Carnie&Wendy Wilson)
Jingle Bell(ventures)
MERRY CHRISTMAS DARLIN
When A Child Is Born
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「Misty」
1954年
詞:ジョニー・バーク
曲:エロール・ガーナー
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「霧のサンフランシスコ」「夜霧よ今夜もありがとう」霧はロマンチック?釧路に住んだことがあるが、ずーっと晴れない夏というのもロマンチックというよりすごいもんがあったな。
さて、あまりに有名なこの霧のスタンダードソング「ミスティ」は、最初はピアノ曲だった。
不世出のジャズピアニスト、エロール・ガーナー1954年の作。飛行機の中から外を見てるうちにメロディが浮かんだんだそうだ。有線放送のBGMでもよくかかるし、ヴォーカルとか教則本にはよくあるのに、なぜかゴリゴリジャズマンはそれほど多く取り上げない。ポピュラーな作曲家の作とは違い、ジャズ的にまとまっている曲だと思うけど(やさしくはない)。メロディがあまりに美しく、後年ジョニー・バークが詞をつけた。恋する自分の不安を、霧の中にいるようだと歌う歌だ。
演奏で、一押しはやはりエロール・ガーナーの自演。入魂のスローテンポで持っていかれる。つづいて取り上げたピアニストは少ない。オスカー・ピーターソンとレイ・ブライアントが独自の弾き方をしてる。どちらもムードを大切にして抑えた感じ。アメリカがこの曲に対して持っている感じはよくはわからないが、日本で超名曲とされるようにヨーロッパのミュージシャンはよく取り上げる曲のひとつだ。
変わったところでは、トランペット金感度NO.1の"ハンニバル"マーヴィン・ピーターソンの意表をつくような選曲が心に残る。中身は何のてらいもなく実直そのもの、でもちゃんと爆発するよ。硬派な音楽家と見えるのにやさしい演奏になる見本は、スタン・ゲッツとハービー・ハンコックの共演盤。一流アーティストはいつも原メロディ(の甘さ)を大切にしているな。
ヴォーカルはとても数多い。でもなかなかの難曲で、ヴォーカルの名演はあまり多くないように思う。音域の広さと、なかなか崩せない細かい歌詞ゆえか。この曲でポピュラー界にも進出したご存知サラ・ヴォーンのコンサートでは必ずアンコールにリクエストがきたオハコで、日本に来ると自ら「ミスチー、ミスチー」と言って日本人の「ミスティー」好きを茶化していたものだ。白人系ではクリス・コナーも人気がある。最近では、弱みを見せたがらぬジャズミュージシャンの性か、バラードで歌うのが難しいことへの反動なのか、ディー・ディー・ブリッジ・ウォーターやママTのような、歌詞とは逆にテンポも上げて歌い上げちゃう行き方も主流になっている感がある。恋している自分を「木の上で困っている子猫」だと歌わなければならないから、逆説みたい表現はなかなかジャズっぽい。
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「On Green Dolrhin Street」
(グリーン・ドルフィン・ストリート)
1947年
詞:ネッド・ワシントン
曲:ブロニスラウ・ケイパー
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ジャズ初心者のころ、この曲を聴いて「何だか不思議な気分になってワクワクした」記憶がある。歌モノであるのだが、インストルメンタルで好まれて演奏される。ジャズピアノをはじめた人にも「かっこいい、弾いてみたい」と思わせるこの曲は、出だしから、とても神秘的で都会的だ。この曲には「ジャズっぽさ」のヒントがあるかもしれない。最初の8小節に、ちょっとひと味違うぞ、と思わせる何かがある。とても印象的なこの部分は、恋人との出会いを歌っているところだ。最後に、恋人とは別れたけれど、思い出したときは出会いの舞台装置「グリーン・ドルフィン・ストリート」の土にくちづけしたくなるという。
初めて聴いたのは、エリック・ドルフィーのバスクラリネットの演奏で、今でもとてもお気に入り。この数年前にマイルス・ディヴィス(トランペット)の名演がある。ぞくぞくするようなテンポで、ジョン・コルトレーンのソロになだれ込むところが、たまりません。
ピアノの名演も多い。バド・パウエル、ウィントン・ケリーがいい。チック・コリアの演奏も、はじけ飛んでいてすごい。
ヴォーカルのひとは、なぜかあまり演らないが、この曲の正体を感じるのにヴォーカルはなかなかいい。トニー・ベネットの生真面目な演奏がいちばんこの曲を表しているような気がする。若きナンシー・ウィルソンが、ジョージ・シアリング4のバックで歌ったものは、通りをクルマで流してるッぽい(?)古きよき都会の情景が浮かぶサウンド。シェイラ・ジョーダンはベース一本をバックに、掛け合いながら歌っていて、これも聴きもの。
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「Star Dust」
(スターダスト)
1929年
詞:ミッチェル・パリッシュ
曲:ホーギー・カーマイケル
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あっという間に夏は過ぎ去っていき、秋は天高く。秋の夜空には一等星がなく派手さはないけれど、夏の大三角に変わって秋の四辺形(天馬ペガススとアンドロメダ姫)や勇者ペルセウスとかギリシャ神話では有名ななかなかすてきな星座たちが高く輝きます。
「Stardust(スターダスト〜星屑"ほしくず")」スタンダードソングの代名詞といってもいいくらいの名曲。日本の'60年代の名番組「シャボン玉ホリデー」のエンディングテーマとして使われあまりにも有名になり、日本では年配の方なら音楽ファンならずとも口ずさめる。
この曲ができる以前に「星屑」なんて言葉や感覚はあったのだろうか。ささやかな想い出は誰にでもたくさんあるってことが「Dust(ダスト〜チリ、ほこり)」という言葉によく出ている。昨日の恋のはかなさを「星屑」にたとえるとは、凡人にはできないだろうな、すごい。
作曲者ホーギー・カーマイケルは、「我が心のジョージア」や「ニアネス・オブ・ユー」なんかも作曲している大御所。この1曲で一生食べていけたとかいう話も…。
聴いていると、「屑」がいきなり宝石箱のひと粒のごとくかけがえのない想い出になって輝く。想い出とはチリのようだけれど人生にとってなんと大切なことか。
ジャズで心に残る演奏は、スウィング時代ならチュ・ベリー、コールマン・ホーキンス(テナーサックス)、ジャズギターの開祖チャーリー・クリスチャン(ベニー・グッドマン楽団)。でも一番有名なのは、ライオネル・ハンプトン(ビブラフォン)の同名アルバムかもしれない。ウィリー・スミス(アルトサックス)、メジャー・ホリー(ベース)らも最高のパフォーマンスで、ユーモアもたっぷりのあまりに人間的な音を奏でている。
モダンジャズに入ってあまり取り上げられなくなったが、ストレートなクリフォード・ブラウン(トランペット)のウィズストリングスが泣ける名演奏、その流れをくむウィントン・マルサリス(トランペット)もすばらしい。
作曲者カーマイケルの鼻にかかった弾き語りも何度も録音されているが、いずれもさらっとしたノリ気味の演奏だ。テンポは速い。曲ができたのは'20年代。'40年代に入ってアーティー・ショウ(クラリネット)楽団がスローテンポでやっているのが、バラードになったはじまりか、気持が伝わってきていい。ヴォーカルはナット・キング・コールがあまりに有名。最近ではジャシンシャのにじり寄るような表現が心に残る。
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「The Summer Knows」
(思い出の夏)
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戦争中の避暑地での少年の恋を描いた映画「思い出の夏」の切ない主題曲(見てない(^^ゞ)。
マイナー(暗)とメジャー(明)が途中5度の細かい転調をはさんで交互に絡み合い、夏の太陽と雨雲を思わせる。
'60年代より活躍しはじめたミッシェル・ルグランの書くメロディは本当に美しい。
「これからの人生」「シェルブールの雨傘」「You
Must Believe In Spring」など、崖のふちを歩いていくように音をつないでいって、切なく見事だ。
ルグラン(ピアニストでもある)と仲良しのフィル・ウッズ(アルトサックス)のフューチャリングがおすすめ。ピアノなら、ぐっと入り込むビル・エヴァンス。あまりに美しい音色のアート・ファーマーのフリューゲルホーンも心に残る。アート・ペッパー(アルトサックス)の「傷心の夏」と副題をつけたくなるような名演奏もあった。どれもすばらしい。
ボーカルでは、ルグラン楽団がバックをつとめたサラ・ヴォーンが定番。
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「Wave」
(波)
1967年
詞・曲:アントニオ・カルロス・ジョビン
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北海道にはほんとうの暑い夏は2週間くらいしかないもんなあ。お盆をすぎれば泳げないし、新調したゆかたにカーディガン着て花火をする夜も北海道っぽい。暑いのもそうだけど長い夏になってほしい。
さて夏といえばボサノヴァがあうね、とかよく言いますが、なぜなのかな。最近はサルサで踊りまくるひとなんかも増えて、いわゆるラテン系の音楽が夏に演奏されることは多い気がする。きっと、暑い国のイメージなのでしょう。
でも確かにボサノヴァは、夏にフィットしてる感じがする。決して重くならないリズムは、青空と涼風を感じさせ、昼間からトロピカルカクテルを連想する、、、のは自分だけか。
さて、ボサノヴァの神様アントニオ・カルロス・ジョビンの作ったたくさんの名曲の中でもとりわけポピュラーなこの歌は、できたのが1967年とわりと新しい。
ふつうブラジルのボサノヴァはポルトガル語で歌われるが、この曲はジョビン自身が英語詞を書いたことでも有名で、そのこともあってかジャズ界でも立派なスタンダードソングになった。
「ふたり一緒に夢を見ようよ」と一所懸命歌いかける。「君に初めて出会ったのが3時半、でも見つめ合ったら永遠になった」という何だかトボケたサビのあとでやっと"Wave"がでてくる。「ふたりの波が来たよ。キャッチするんだ」とくる。何度も読むとちょっと男が女をくどいてるみたいな歌詞だ。有名なフランク・シナトラのバージョンが、ハマるね。
ジョビンの自演が、淡々としていてクールだ。ギターがリズムを切ないコードで刻み、ピアノは節約型の大きな音符で静かに弾くボサノヴァの典型だ。暑苦しくならないのがコツ?
ジャズではミルト・ジャクソン(ビブラフォン)とレイ・ブラウン(ベース)のコンビが、とてもジャズっぽくおもしろい。ピアノのマッコイ・タイナーもいつも通り熱演、暑い夏です。
ヴォーカルものも多いが、音域の広さや音程の難しさで難曲だと思う。
サラ・ヴォーンがボサのリズムをやめて、スローバラードでワンコーラスやってるのはすばらしい。アニタ・オデイは、あまりに上手すぎ、すごいテクニックできかせる。本場ブラジルの人は絶対そうしないだろうがリズミックなアドリブアプローチはジャズのやり方である。
本場のジョアン・ジルベルトは、ジョビンと違いとても明るい表情だ。元気が出るWave。
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「Body And Soul」
(身も心も)
1930年
詞:エドワード・ヘイマン
曲:ジョニー・グリーン
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スタンダード名曲中の名曲、とても切ない歌である。
1930年生まれ、スウィング時代から現在まであらゆるスタイルのミュージシャンに取り上げられ続けている。
歌詞はめずらしくとてもストレートで、思いの届かなくなった恋人に歌いかけているみたいだが、とても意思のこもった感じのする歌だ。
各コーラスの最後に
「I'm all for you body and soul
(私は全部あなたのもの)」
とくる。最後は
「I'm yours for just taking
(あとはただあなたが決めるだけ)」
「I'd gladly surrender
(喜んで降参する、だ)」
と強烈に自分を投げ出していて、「あなたに命捧げます」という風の日本の演歌の名曲と何ら変わりがない。
メロディは最初の何てことない2小節が、とても切ない。長調なのに、歌詞とからみあって切なさが続く不思議な曲だ。
コールマン・ホーキンスのテナーサックスは、いつもたたみかけるような音の洪水で泣ける。ベニー・グッドマンのクラリネットもとても美しい。
ピアノなら、淡々としたテディ・ウィルソン。バド・パウエルのソロが入魂。セロニアス・モンクも打楽器的で印象的。
ヴォーカルはたくさんある。不思議だが細かいところが違う歌詞が非常に多くある。
晩年のビリー・ホリデイが迫りくる。強者カーメン・マクレーの弾き語りが、ちらりとこぼれる可愛さを出していて感動する。
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「Spring Is Here」
1938年
詞:ロレンツ・ハート
曲:リチャード・ロジャース
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日本の唱歌「春が来た」はシンプルで、春の到来の喜びにあふれた名曲ですが、そういえば「夏は来ぬ」って曲もあるし、日本は四季の移り変わりをはっきり感動できて、それぞれの季節の歌がたくさんある幸せな国だと思う。俳句には季語が要るなんて、常夏の国じゃ苦労するだろうな(笑)。
さて、こちらは黄金のコンビ!リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートのスタンダードソング「Spring Is Here」。先月の「マイ・ファニー・バレンタイン」と同じコンビによる少ししぶめの名曲です。
出だしはディミニッシュコードを使ったメロディで、とても美しい。なんとも不思議な雰囲気で、日本の春とは違うかんじだ。リズム的には平坦だが、メロディは静かに力強く劇的に盛り上がっていき、ホッと来たところで解決する、そこが春が来たところ。ドラマチックでよく出来ているなと思う。詞の内容は、「うきうきするハズの春が来たのに、恋人がいないオレはちっとも盛り上がれない!」という、ちょっといじけた悲しい歌だ。そのせいか、一人ごちた解釈の演奏が多い。
何といっても、ビル・エヴァンス(ピアノ)の演奏がすばらしい。内に向かって入りこんでいくバラードの典型で引きこまれる。だが、メロディがリズミックでないぶん、どんなリズムでも演奏できる曲だ。エヴァンスが亡くなった時、同じくピアニストのリッチー・バイラークが追悼アルバムでこの曲をワルツで録音していて興味深い。チャーリー・ヘイデン(ベース)はケニー・バロン(ピアノ)とのデュオでボサノバで演奏している。
管楽器の演奏ではジョン・コルトレーンやスタン・ゲッツ(サックス)のものがあるが、そう多くない。マイルス・デイビス(トランペット)はギル・エバンス・オーケストラと演奏しているが、こちらはちょっとシリアスでクラシカルだ。
ボーカルの人にももっと演ってほしい曲だが、こちらも歌われる機会はそう多いとはいえない。クリス・コナー(「バードランドの子守唄」)のが一番有名かな。アーネスティン・アンダーソンはとてもマイペースな歌。
僕のお気に入りはギターをバックに歌っているとても暖かいローズマリー・クルーニーのバラード集。
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「I'll Remember April(4月の思い出)」
1941年
詞:ドン・レイ
曲:ジーン・デ・ポール&パット・ジョンストン
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4月は、日本では年度はじめなのでスタート!っていうイメージの月ですね。
入学、進級、人事異動?また、雪の北海道ではいろんな戸外活動が始まるシーズンでもあります。
「4月のすばらしいあなたとの思い出があるから、秋になっても私は大丈夫」という、なかなか頼もしい元気の出る唄。題名は直訳すると「きっと4月を思い出すよ(そして頑張れる)」だな。日本じゃ、去年の思い出を胸にヨーイ・ドン!の4月ってことになるのかもしれない。
曲の構成がやや風変わりで(ABA形式48小節)、インストルメンタルでもよく演奏される。セッションでも定番の曲だが、たいてい速いテンポでやる。
ピアノでは神がかりの演奏をしたバド・パウエルの初期に決定的名演がある。パウエルとその一味である、クロード・ウィリアムソンやハンプトン・ホーズは同じ解釈だが、面白いのはソニー・クラークのしんみりとしたバラード演奏(ソロ)で、この曲の美しさを見事に引き出している。
近年では、ミシェル・ペトルチアーニやジョン・ヒックス、ジョン・ルイスとハンク・ジョーンズのピアノデュオなんてのもあり、枚挙にいとまがない。
歌では、アップテンポで転調に転調を重ね観客を飲み込んでいくサラ・ボーンを思い出す。
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「When the Saints Go Marchin' In(聖者の行進)」
Traditional(作者不詳)
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日本人でも、誰でもハミングできるほど有名なトラディッショナル・スタンダード。
ジャズの発祥のころ、葬式で墓地への往き帰りには音楽を演奏したそうだ(それが初期ジャズマンの重要なシゴトだったので、持ち運び不可能な楽器たとえばピアノなんてものは最初のジャズにはなかったんだ)。往きは悲しげな死を悼むような曲を演奏するが、帰りは生きている皆を励ますってことなのか、ドハデで楽しい曲をやったらしい。「聖者の行進」は、帰りのお決まり曲だった。奴隷として連れてこられた黒人達の間にあった「この世では苦しいことばかり、死んだら幸せになれる」という宗教観も感じさせます。
Saintを辞書で調べると、「聖人」の他に「死者」の意味があった。もともとそういう意味の神聖な歌だったのだろうが、お祭りのように明るく演奏されることが多い(デューク・エリントンはリクエストが来てもこの曲だけは演奏しなかったという話がある)。もともとドンチャンやるべき曲じゃないのに、自らを励ますために、または白人の目をはぐらかすためにわざとそうしているというようなことが、昔の黒人のジャズにはよくあった。でも本当の意味は当人には痛いほどかみくだかれていて、陽気に演奏される音楽からふとこぼれ落ちる、、こんな感動もよくあるな。陽気なジャズやブルースの向こう側をいつか見てみたいものだ。
神様サッチモ(ルイ・アームストロング)の歌とトランペットが、一躍この曲を有名にした。何度も録音しているが、としをとるほどに神聖さを増してゆっくりかみしめるように演奏しているのが興味深い。映画「五つの銅貨」での名演も忘れられない。
初期のニューオリンズジャズらしさが一番あらわれているのは、ジョージ・ルイス(クラリネット、バンドリーダー)の演奏かな。最近では、テレンス・ブランチャード(トランペット)の同名アルバムがある。またこの古典曲に見事に現代のアレンジを施したタイガー大越(トランペット)の演奏もすばらしい。
ゴスペルの女神様、マヘリア・ジャクソンが歌っているらしいのだが、残念ながらまだ聴いたことがない。聴くまえからゾクゾクするね。
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「My Funny Valentine」
1937年
詞:ロレンツ・ハート
曲:リチャード・ロジャース
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2月14日は「バレンタインデー」。恋人同士が贈り物をし、特に女性から男性に恋を打ち明ける日ということになっている。チョコレートを聖なるものと考えはじめていた中学のとき、それが日本のデパートの戦略だったのを知った時ショックだった。でも気持ちのこもった贈り物は何てすてきなものだろう、誰の戦略でもなんでもうれしいね。
バレンタインといえば、今月の曲は「My Funny Valentine」。
スタンダード中のスタンダードといえるくらい、幅広く知られた曲。'89年のアメリカ映画「恋のゆくえ」では、クラブ歌手役のミッシェル・ファイファーが歌って人気になった。でも「私のおかしなバレンタイン」って何だろうか。女が男に歌う歌のようだ。サビまでは「あんたの見てくれは笑っちゃう、写真向きでもない。でも、私にとってはお気に入りの芸術品なのよ。」と半分けなされる。相手の主演男優がオレみたいな男だったら、大真面目で歌う歌なんだろうが。悪いが訂正してほしい箇所がある、と言いたくなるな。上げたり下げたりはまだ続く…、「美形とはいえないし話し方はダサイし」、でもサビのあとに「私を好きなら、髪の毛一本でも変えないで。私の好きなあなたのままでいて」とくる。スタンダード・ソングにはこういうひねり技が多く、イカしてるなーと思うものが多いけど、この曲に関してはやっぱり訂正してほしいところがある…、主演男優だったらね(笑、愛はストレートに表現してほしい)。でも好きなんだなあ、という感じがよく出ているな。
名演は数多い、楽器奏者にも人気の高い曲だ。
男性歌手もよく歌うがフランク・シナトラとチェット・ベイカーが双璧の人気。女性歌手では若きカーメン・マクレー、円熟のサラ・ヴォーン。
インストルメンタルでは、ソニー・スティット(アルトサックス)やマイルス・デイビス(トランペット)の演奏がすばらしい。スローテンポでないものも多く、ビル・エバンス(ピアノ)とジム・ホール(ギター)のデュオ、エディ・コスタ(ピアノ)など興味深いアレンジが聴ける。
僕のひそかなお気に入りは、モーガナ・キング(ヴォーカル)がこの曲の真ん中に「You Are So Beautiful」を1コーラスはさんでメドレーにしているやつ。なんというやさしさ!最後にMy
Funny Valentineに戻ってからも、執拗に「〜So
Beautiful」のフレーズを入れて相手をフォロー(?)している。
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「What's New?」
1939年
詞:ジョニー・バーク
曲:ボブ・ハガート
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「新着コンテンツは?」という意味じゃない(笑)。
久しぶりに会った人に、「どうしてる?」「元気にやってる?」という半ば挨拶のひとつらしい。
この曲は、かつての恋人に歌うのでなかなか切なく、8小節の頭毎に三度出てくる「What's
New〜」を、軽く表現するのはむずかしい。メロディが、そこのところで力いっぱい上がってるから、いやでも盛り上がるしくみになってるし、だれでもフラレタひとに会うとちょっと力むでしょ?
オチは、「あなたは知らないでしょうが、私は変わってないの、、、I
still love you so…」
ガーン、はやく新しい人生を!
よく「お変わりなくて?」などという訳をみる。
そういえば、シャンソンの名曲に「再会」というのがある。まさに「What's New」のフランス版みたいだ。自分に向けて歌われるとしたら、、絶対イヤ(^^ゞ。「What's
New〜」と歌われる前に走り去るだろう(他の歌にしてほしい)。ちなみに、サビあとは「What's
New〜」でなく、「アデュ〜(さよなら)」という。
申し訳ないが(?)なぜか女性の歌ばかりだ、、、。
定番のへレン・メリル。マリーンのおはこ。リンダ・ロンシュタット好き。あとは御存知、宮田あやこ。
ダントツ好きなのは、クリフォード・ブラウンのストリングスと一緒の演奏だな。
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「すすきの」で12月に数多く演奏される
↓↓ 定番ソングランキング 1999年 ↓↓
第1位 「White Christmas」
はい、抜群の知名度!ビング・クロスビーを超えるのは?
第2位 「The Christmas Song」
ミュージシャンに人気高い。ナット・コールが有名ですが、
むせび泣く Tenor Sax デクスター・ゴードンのお気に入り曲。
第3位 「Silent Night」
教科書にものってる「きよしこの夜」。
でもみんな23、24日くらいにならないとあまり演りたがらない。
第4位 「Amazing Grace」
年の瀬の歌といういわけではないけど、最近よく演られる。
クリスマス→賛美歌→ゴスペルってこと?
第5位 「クリスマス・イヴ」
山下達郎さん。「雨は夜更けすぎに雪に変わるだろう」
北海道じゃピンと来ないにもかかわらず、ここがスキ。
第6位 「Blue Christmas」
「あなたなしのクリスマス」とても悲しいのに、なぜこんなに
メロディがあったかいのか。
>淋しいのにバカ騒ぎしてるアナタ!
第7位 「Santa Claus Is Coming To Town」
「ベラマッチャ〜」街中のいたるところで、流れてます。
オススメは超スローで演ってるラムゼイ・ルイス。きれいな曲だ。
第8位 「Last Christmas」
「ケアレス・ウィスパー」でおなじみ、ワムのこの曲も定番化した。
コード4つの4小節が最後まで延々くりかえし。
なのになぜこんなに広がるんだろう。
他にも、
「赤鼻のトナカイ」
「サンタがママにキッスした」
とか
「Winter Wonderland」
「Here Comes Santa Claus」
「Have Yourself A Merry Little Christmas(スキ)」
とか演りますね。いい曲があったら教えてください!
Ken's Favorite
第1位 「Silver Bells」
僕が一番好きなのはこれです。
第?位 「You Are All I Want For Cristmas」
なんたって題名がせつなくすばらしい(?)。ピアノの
ボビィ・ティモンズが演っています。
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「Fallin' In Love With Love」
1938年
詞:ロレンツ・ハート
曲:リチャード・ロジャース
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Fallシリーズ第2弾、「恋に恋して」。
恋に恋するってどういうことだろうか。
歌詞を読むと、それは 「make believe」「playing
the fool」だと言ってる(最後は目覚めると
いうオチがついている)。
恋してる自分が嬉しくて相手が見えないってコト
か。恋に酔う、、これはあたりまえのような気がするが。真剣に「バカを
やる」なんてできたのは、何年前でしょうか。現役?エライ!
友達の相談役になって「あいつは恋してるからやっかいだ」とグチをこぼす
人は、友達を心配しながら羨ましい気持ちになってたりする。そんな意味
では、祝福したくなる。恋してる人には、ふだん見えないものが見えるら
しいよ!
原曲は恋の気分を表してるようなワルツだが、ジャズではスウィ
ングテンポでやる。
日本では人気のヘレン・メリル(with クリフォード・ ブラウン)があまりに有名だが、アーマッド・ジャマル、キース・ジャ レットなどのピアノの名演もあります。 |
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「When I Fall In Love」
1952年
詞:エドワード・ヘイマン
曲:ビクター・ヤング
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秋のことをアメリカでは「Fall」といいます。
これは文字通り「落葉」から来てるらしいけど、なぜか恋することを
「恋に落ちる」といいますね。恋する者の不安やコントロールの効か
なさが表れてれる、、、もしや初めてこの言葉を使った人は、秋に
Fall In Love した人かもしれない。
名曲です!ヴィクター・ヤング作曲。 「私が恋をする時は、永遠に続く恋をする、または絶対恋に落ちないか
のどっちか」 ときっぱり!ほれぼれするね。
ポピュラー系の人もよく歌う。 リンダ・ロンシュタットがさきがけか。オリジナルメロディは平坦なリズム
なので、喋るように歌わないとつまらない。ジャズでは、マイルス・ デイヴィス、ビル・エヴァンスの名演が心に残る。
ギターのジム・ホールが、夫婦でデュエットしているのがあった。何とド素人の奥さんが歌っているのだ。下手でもあったまるよ。
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「Autumn In New York」
1935年
詞・曲:バーノン・デューク
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冬のニューヨークも北海道に近いくらいとても寒くてたいへんらしいが、いろんな人に話を聞くとニューヨークの秋はとにかくとても人気がある。そしてこの時期リクエストが多い曲「ニューヨークの秋」。
さて、アメリカでは秋に年度始めが来る。バケイションが終わって新しい季節の始まり、それが秋なのだ。新学期がワクワク春サクラの日本人にはちとピンと来ないかもしれないが、この曲の詞を読んでいると「休みは終わり、現実の街に戻って頑張らなくっちゃ」そんな気持ちがわかる。コンポーザー(作詞・作曲)のヴァーノン・デュークはこの曲と対になるような「パリの四月」というこれまたすばらしい曲を作っている。どちらも街の賛歌であるが、個人的な感情を自由に織り込みながら聴ける、そんな広がりを感じる名曲だ。「ニューヨークの秋は自分を励ましてくれる、新しい恋の期待がある」と歌う、明るいよ。
そうそう、、映画「ラウンド・ミッドナイト」で主人公のサックス奏者デクスター・ゴードンが「だめだ、歌詞を忘れた(ので吹けない)」という名場面がある、その曲が「ニューヨークの秋」だ。
はげしく何度も転調するなかなかの難曲だ。ありきたりな構成ではなく、しいていうならABAC形式。でも出だしの印象的な1小節のメロディがこの曲を人気曲にしたんだろうな。
インストルメンタルに名演が多い。いちばん有名なのは'50年代MJQ(モダンジャズカルテット)の肌寒い演奏かな。また、モダンジャズピアノの神様バド・パウエルの愛奏曲として有名。若い頃のクラシカルなのと晩年の悲しいやつと、どちらも入魂。アルトサックスのソニー・スティットも泣いています。大好きなギターのタル・ファロウにも同名アルバムがある。
ヴォーカルならジョー・スタフォード、定番です。天才メル・トーメはニューヨークにちなんだアルバムを何度もつくっていてそこでも聴けます。ニューヨークを歌った歌といえばたくさんあるけれど、有名なところでは「New York, New York」「Sunday in New York」「Broadway」「Harlem
Nocturne」「Manhattan」なんかがありますね。
僕の一番のお気に入りは、無冠のトランペッター、ケニー・ドーハム率いる「ジャズプロフェッツ」のニューヨークのジャズクラブ(カフェボヘミア)でのライブ盤で、火の吹くような演奏の後に「次は軽い演奏で"ニューヨークの秋"です」というケニーのMC入りの演奏。ふだん聴けないスターの声ってワクワクするね(はい、演奏もすばらしいです!)。
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「September Song」
1938年
詞:マックスウェル・アンダーソン
曲:カート・ウェイル
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めぐりめぐる季節。それぞれが思い切りその季節らしいと、次の季節の到来が鮮やかでうれしいものだ。厳しい冬のあとの春のうれしいこと。
寒い夏は夏が好きなひと=自分にとってはオタンコ夏、、がっかりしたひとも多いかもしれないけれど、もうすてきな秋のはじまり。秋の歌は多い、詩になりやすい季節のようだ。音楽好きなひとは全部の季節が好きになるとオトクです。季節の歌がたくさんたくさんある。
さて、9月。ずばり名曲「September Song」。
ちょっと風変わりだがとても印象的な歌だ。片思いの歌だが、季節の流れの中でその切なさが増すしくみになっている。
「5月に惚れたあの娘が、こちらを向くまで長くずっと待っていた。夏が終わった。9月になって日も短くなってきた。そろそろ君と一緒に過ごしたいんだよ、11月になっちゃうよ」
と歌う。9月〜11月のことを「precious
time」といってるあたり、「この素晴らしい9月だからこそ、君と一緒に」という意味がこめられてる。
スタンダードソングの歌詞には、月の名前が心の象徴に使われる詩がたくさんある。9月は(September)明るいやる気のある月として使われるようだ、海の向こうでは、学校も秋から始まる、スタートの希望にあふれた季節。5月(May)は、恋の季節、すばらしい季節の象徴にされる。
メロディは抜群にいい。メジャーの曲なのに、マイナーから入る。サビは、だまって歌っても必ず切なくなる、しかし静かに力強く盛り上がります。
もともと男の歌であるが、若き日のサラ・ヴォーンの名唱(with クリフォード・ブラウン)が一押し。男性歌手ではナット・キング・コールが有名です。チェット・ベイカーはお気に入りで何度も録音している。
インストルメンタルは多くないが、アート・テイタム(ピアノ)の晩年の演奏がある。近年、ケニー・ドリュー Jr.(ピアノ)の秋の曲ばかりを集めたアルバムでも演奏されている。
日本では、かつて淡谷のりこや江利チエミが歌い、またシル・オースティンやサム・テイラーのサックスの名演もあり、50代以上の方にはジャズファンならずとも有名な曲のようです。
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「September In The Rain」
1937年
詞:アル・デュビン
曲:ハリー・ウォーレン
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「9月の雨」。正確には「雨の9月」だな。
やさしい雨というイメージが浮 かぶメロディ。作者は9月に素敵な恋をしたんだろう。
サビ以外は、何て ことない歌詞だ。サビは「雨だれの奏でる音が、あなたの囁いたひとつひ
とつの愛の言葉に切なくリフレインするみたいだ」としゃれてる
(あってるかな。英語の詩を完璧に訳すのは不可能です。
よければ原詩をそのままカンジルことをおすすめします)。
そしてオチは「春が来たって、私はまだ9月のままよ、雨の9月のまま」と
なる(ありがちな(^^ゞ)。
そう、スタンダードソングの詩にはオチがつ
けられてるものが多いです。そういう歌は、「このあとどうなるの?」と
ミステリー小説読んでるみたいな気分になって面白い。
この曲は、歌詞も 簡単でメロディも実に素直で美しく初心者向けといえます。でもこういう
曲は歌っていくにつれ、だんだん難しくなってくる〜ヘ(^^ヘ)))
一押しはやっぱりサラ・ヴォーンかな(「at Mr.Kelly's」)。 ジョー・スタフォードも美しい。
ピアニスト、ジョージ・シアリングのテーマソング(大ヒットした)。
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「Autumn Leaves」
1950年
詞:ジョニー・マーサー(英)ジャック・プレベール(仏原語)
曲:ジョセフ・コスマ
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「芸術の秋」「食欲の秋」「読書の秋」、、とかいろいろ言いますが、こんなに舞台装置のいい季節はないぜ、ってことなのでしょうか。夜が長くなって、落ち着いて何かをする時間がたくさんあると感じているひともいるでしょう。でも北海道ではどんどん冬が近づいてきていて、足早にすぎていく気がするな。実りの秋にしたいものだ。
秋の曲といえば、御存知フランスの名曲「枯葉」。1940年代後半にできたらしいですが、ジャズの世界ではもっと遅くポピュラーになった。ナット・キング・コールがジョニー・マーサーの英語詞をつけて歌ったのは1950年代だが、何と言っても1958年のキャノンボール・アダレイの名演(どう聴いてもマイルス・デイヴィスがリーダーだ)で有名になり、以来ジャズミュージシャンがこぞってとりあげるようになった。また本場のシャンソンでもジャジーなアレンジで歌われることが多い。
英語では「秋」のことを「Fall」といいますが、まさに枯葉が舞い落ちる様子からきたようです。「The
falling leaves…」と始まるこの曲の歌詞はなんてことはない。窓辺にはらはらと舞い散る枯葉を見て、まぶしい夏の日に手を握ったことや口づけを思い出し、恋しいよ!と歌う失恋の歌。ちなみに「恋する」ことも「恋に落ちる」というな、これも「Fall
in love」の訳なんだろうが、秋は「恋愛の秋」なのかもしれない(まさか)。
ジャズ・ヴォーカルはたくさんあるようだが、英語詞では、シャンソンのイブ・モンタンを凌駕するほどの名演奏はないみたいだ。スローバラードかスローボサノヴァで歌われることがほとんどで、甘ったるいのが多い。
歌は平面的になりやすそうで難しそうだ。
ただ1980年代にサラ・ヴォーンがメロディすら出さない全編スキャットのみで、アップテンポで歌った「枯葉」は凄まじかった。僕は市民会館でその生の演奏を聴きましたが、チャーリー・パーカーを聴いてるようだった。
ヴォーカルとはちがい、インストルメンタル、とくにピアノの名演は数多い。劇的なエロール・ガーナーが一押し(涙涙)、2拍3連のビル・エヴァンス、ウィントン・ケリーも泣かせます。 ボビー・ティモンズのライブ盤もアーシーですばらしい。 キース・ジャレットのスタンダーズ・ライヴも必聴です。
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「ESTATE」
1960年
詞:ブルーノ・ブリゲッティ(伊 原語)
曲:ブルーノ・マルティーノ
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今や、現代ボサノバの代表曲のようにも思われている名曲です。
そして僕もブラジルの曲だと思って、かつてここでもそう書いていましたが、大変失礼しました。
原曲はイタリアの曲で、素晴らしいメロディはブルーノ・マルティーノというイタリアのピアニスト、作曲家、歌手によるものです。
イタリアを訪れたボサノバの神様ジョアン・ジルベルトがこの曲を気に入り、70年代後半に何とイタリア語のまま録音(僕はポルトガル語だと思い込んでいました、はずかしい、、でもそのくらいボサノバとして違和感なく聴こえた)。以来、イタリア語で歌われることが多いようですが、その後たくさんのジャズミュージシャンにも好んで取り上げられ、英語の歌詞もつきました。
歌詞は「夏は四季の中でも一番あなた のことを思い出す季節(だから嫌い)」という、夏の終わりにぴったりの切ない曲。
「Estate」とは、ずばり「Summer(夏)」です。
実は意外にも、この曲が生まれたイタリアでは作曲のマルティーノ自身の歌を始め、とても朗々と歌われています(Youtube)。
しかしジョアンによって、見事にジョアン流に内省的なボサノバになり、夏のまぶしい思い出をほろ苦く静かに歌い切っています。
僕はこの曲を、80年代にロサンジェルスの名シンガー、ディー・ベル(Dee Bell)に教えてもらい、何て切ない曲なんだろうと思いました。Concordのアルバムに入っていてトム・ハレルのトランペットが忘れられない。
他、ボーカルでは、シャーリー・ホーンの歌が、超スローで泣かせます。
インストルメンタルでは定番の感がある、イタリア系フランス人の名ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニが入魂の夏を聴かせています。ライブ盤がすばらしいです。
いつも駆け足で過ぎてく夏。北海道はね、2週間しかないし。
眠れないほど蒸し暑い夜もあったときは、季節の終わりの切なさも倍になる。
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「Summertime」
1935年
詞:デュ・ボース・ヘイワード
曲:ジョージ・ガーシュイン
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あまりに有名なガーシュウィンのこの名曲は、オペラ「ポギーとべス」の冒頭で歌われる子守唄。
歌いだしに「Summertime 〜」と出たきりで、夏のことをうたった歌というわけではありません。明るい夏を、逆説的に、辛くはない人生の象徴にして歌っている。
貧乏そうな黒人街で、まったく脇役の乳母が子供をあやしながら歌う。
「おまえの父さんは金あるし母さんは美人、泣くこたぁ何もないのに♪」
きっと現実はちがっていただろうに、皮肉のような少しつらい原風景が夏のまぶしさの中で、さらに切なさを増すのです。
2番はやさしい。
「大きな羽ひろげておまえが飛び立つまで、父さんと母さんはいつもそばにいて、守ってくれるよ♪」
メロディはとても大きく、ガーシュィンのつけた不思議な和音が、このオペラの雰囲気を決定づけて見事だ。
ジャンルを超えて愛されるこの曲の名演はあげたらきりがない。
有名なジャニス・ジョップリンの「サマータイム」を聴くと、ビリー・ホリデイの「サマータイム」を思い出す。
が、これのサックス版が僕の中にはあってアルバート・アイラーの「サマータイム」を聴くと、同じようにシドニー・ベシェを思い出してしまう。
どちらも奇しくも'60年代と'30年代の演奏だ。どれも壮絶な名演奏で、これが僕にとっての「サマータイムの4壁」かな。
都会的なマイルス・デイビス(with ギル・エバンス)、包み込むようなエラ&ルイ、もすばらしい。
僕のお気に入りはオスカー・ピーターソンがクラヴィコードという古い楽器を弾いて、ギターのジョー・パスとデュオで吹きこんだ「ポギーとベス」というアルバム。 |
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